2012年6月9日土曜日

子供育成Q&A【子供の成長に合わせた育成方法が知りたい】

■ご質問内容

子供の成長に合わせて練習内容や練習量を考える必要があると
聞いたことがあります。
年齢に応じて練習内容や練習量はどのように取り組んだ方が
良いのでしょうか?




■回答
子供年齢と運動神経を示す有名な理論に
『スキャモンの発育曲線』
という1930年にスキャモンという生物学者により発表された
論文があります。
↓こちらのサイトを参考にしてください。
http://www013.upp.so-net.ne.jp/challengesquare/pdf/kidspaper2.pdf

ある程度は、このグラフを参考に
いつ、どのタイミングとどれくらいの練習量や負荷を与えるべきか
おおまかな判断基準となるかと思います。
実際にミニッツでもこのグラフとこれまでの経験をもとに日々の
レッスンメニューを組み立てています。
例えば、小2以下の生徒には神経系の発達を中心としたメニューを組む、
中学生でも体自体はまだ成長途中なので重いものを持って鍛える
=ウエイトトレーニング系は強く行わないようにしています。


ただ、このグラフをしっかり見ていただくとわかるのですが
神経系の発達という視点からみると、気になる事実があると思います。
子供の運動神経(誤解を恐れず書くのであればボールが飛んできて危ない!
と勝手に体がよける反射神経の俊敏さ)
は、8歳までに大人の90%以上完成されてくると考えられているのです。

この曲線グラフは、各スポーツ団体の講習会やライセンス取得時に
使用する指導書によく登場します。

ただ、少し気になるのは、(矛盾していると思われるのは)
いわゆるプレゴールデンエイジやゴールデンエイジという
“どんな技術でも子供達がスポンジのように吸収する
といわれる時期”との整合性です。

実際にこれまでクラブで何百名という生徒達に対しフットサル・バスケ・テニスを
指導をしてきて感じるのは、小学校2年生くらい(6歳)までは
可塑性(運動神経が良くなっていく感触)があると実感する体験を
していますが、例えば5年生の生徒を預かってから運動神経そのものを
劇的に変化させれたことは、あまり実感としてない、ということです。
(技術指導力がないということかもしれませんが、、)

ただ、誤解してほしくないのは、小5からスポーツをはじめても
うまくなれないか、というとそうではないということです。
運動神経そのものを劇的に発達させれなくても、それ以外、
特に知的に論理的に物事を理解し実践していく部分は
小学校後半~中学生にかけて飛躍的に発展していくのは
日々レッスンの中で感じます。
サッカーで例えると、ボールを持っていない時のポジション取りや
スペースを感じて利用していく頭脳といった部分です。
実際に私の知り合いには、大学生になってからサッカーをはじめて
北信越代表選手となったり、天皇杯で本戦2回戦までいき
Jリーグチームのサンフレッチェ広島と対戦するレベルまで成長した
選手も知っています。
ただ、本人も言っていますが、やはり足に吸い付くドリブルは出来ないと
理解した上で、ボールを持っていない時の動きやゲームの組み立て、
相手との駆け引きといった点を強烈に高めていくことで高いレベルで
自分のプレーをチームに生かすことができたと言っていました。

最後に、これも経験則からとなりますが
スキャモンの成長曲線も±3歳程度、誤差といいますかズレがあると感じます。
個々の子供ごとに背の高さや体重など成長具合もかなり異なりますので
一概にこの曲線の年齢とお子さんを当てはめるのは違うかなと思います。
(例えば小1の子でも小4くらい大きい子はかなり神経系の成長は進んでいる
可能性が高いですし、逆にかなり体が小さく年少さんくらいの子は
まだまだ神経系の発達も可塑性がかなりあると考えて良いかと思います)

どんな理論でもそうですが、鵜呑みにしすぎず
参考にしながら、親さんも私達コーチも子供本人に合った
付き合い方をしてあげるべきだと思います。


<参考サイト>

スキャモンの発育曲線とスポーツ育成について
http://www.bea.hi-ho.ne.jp/y-kondou/page_1.htm

スキャモンの発育曲線とゴールデンエイジについての考察
をされてみえる方がみえます。
http://juniorski.blog88.fc2.com/blog-entry-181.html